【ものすごい発見をしてしまった】きんにくに関する重大レポート

日常会話や挨拶において、ついつい多用してしまう「きんにく」というフレーズ。
しかし私は気づいてしまったのだ。
何気なく口にするこのフレーズが持つ、大いなる可能性に。

kinnniku

案ずるより産むが易し。
まずは実際にキーボードで「きんにく」と入力してほしい。
勘の良い方ならすぐに気づかれることだろう。

途中で、nを3つ並べるのだ。

どう見ても筋肉の隆起である。

まるでバック・ダブルバイセップスにおける上腕二頭筋から上腕三頭筋広背筋という一連の美しい隆起を容易に想像してしまう。

n3つを入力する際に、おもわずあなたが
「キレッキレですなぁ!※1
と零されてしまっても、無理はない。決して病気ではないので、どうかお気になさらず。

※1:キレッキレですなぁ!
筋肉の筋が目立ち、筋繊維がはっきりと見えている様子を讃える際に用いる。キレてる。
使用例1:「やはりフィル・ヒースの三角筋はキレている。」
(フィル・ヒースの肩の三角筋が美しく盛り上がっており、褒め称えずにはいられなくなった際に用いる)
使用例2:「キレッキレッしましょ?」
(プロテインを服用し、相手をトレーニングに誘う際に用いる)

きんにく

さて、次はひらがな表記で「きんにく」というフレーズと向き合ってみよう。

3画目を終えた時、あなたも気づかれたことだろう。

どう見てもシックスパックである。

まさか、のっけから腹筋を晒してくるとは。驚きの一言である。
そしてあなたは戸惑いがちに「き」を完成させて、1画でさらりと「ん」と記す。
そして続けざまに驚かれたことだろう。

どう見ても力こぶを見せつけられている。

腹筋の後は上腕二頭筋か。
なるほど、悪くない。悪くない流れだ。

こうなってくると脳内はもうボディビルの会場にトリップしている。

筋肉を見せつけている相手はあなたの好きなボディビルダーを想定すると良いだろう。
思いつかなければ、おそらく最も有名なボディビルダーである「アーノルド・シュワルツェネッガー」を想定してもらえれば問題はない。

腹筋、そして上腕二頭筋はわかった。早く。早く次のポーズを見せてくれ。
はやる気持ちを抑えきれずに、あなたは「」と書き終える。

と、同時にこう叫ぶことだろう。

「モスト・マスキュラーだ!」

人によっては、「フロント・ラットスプレッドだ!」と叫ばれるかもしれないが(おおよそこの二択だとは思うが)、私には「に」から美しい広背筋を彷彿させられることはない。
多くの方は「モスト・マスキュラー」を脳裏に思い描くことだろう。

ここまでくると、もはや偶然ではない。「きんにく」というフレーズは最後まで我々を楽しませてくれるに違いない。
そうした期待を胸に膨らませ、最後に「」と書く。

きっとあなたは少しの笑みを零し、額に手を当て、こう呟かれたことだろう。

「ははっ……サイド・トライセップスじゃないか」

もし、万が一にだが、サイド・トライセップスがわからないという方は検索してみてほしい。
完全に一致していることが理解できるだろう。

出典:https://steemit.com/sport/@fedismaoui/bodybuilding-posing-principles

恐ろしい。まったくもって恐ろしい。
我々のご先祖様はひらがなを定める際に、ボディビルを参考にしていたのか。

お偉いさんが集まり、目の前で行なわれているポージングを参考に「ほっほ、きれておじゃる」と興奮しながらひらがなを決めていく。そうした過去があると考えると、なんとも趣深いものがある。
少なくとも、「きんにく」という4文字だけはそうやって制定されたに違いあるまい。

しかし、これだけではない。「きんにく」というフレーズに秘められた可能性は、こんなものではないのだ。

当然、カタカナ表記でも「きんにく」というフレーズは我々を大いに興奮させる。

--本当だろうか。
-ーこんな偶然、これ以上は続かないのでは……
-ー無理だよ、筋肉にだって不可能はあるんだ!

あなたがそう悲観的になるのも、仕方のないことだ。
しかし、思い出して欲しい。ボディビルダーの方々が我々に与えてくれる、あの素敵なスマイルを。「きんにく」の前には、悲しみの涙など必要ないということを。
彼らに代わり、僭越ながら私がそれを証明してみせる。

キンニク

まずは、「」だ。
そう、そしてこの時点で、もはやあなたの顔に涙はない。

だって、まんまシックスパックである。

すごい。
筋肉とは、腹筋を晒すことから始まるのか。
確かに筋肉自慢をする一般人ですら、どうも腹筋を晒したがる傾向にあると思う。

さすがは我らのご先祖様である。
ひらがなに続き、カタカナまでも「キンニク」から引用していたなんて。
きっと共通するこの腹筋部分だけは、どうしても外せなかったに違いない。

続いての「」だが、人によっては「あ、あれ?」と戸惑いを隠せない方もいらっしゃるだろう。

そう、特に何にも見えない、と。

なんだよ、筋肉の可能性とはその程度のものなのか、と。
先ほどのボディビル会場にトリップさせてくれた「きんにく」とは違い、ずいぶんお粗末なもんじゃねーか、と。

確かに、人によってはそうかもしれない。
ただし、私にはその違いを説明出来る。そして説明した後ならば、もしかするとあなたにもその光景が見えてくるのかもしれない。

まず、見える人と見えない人の違いとは何か。
ズバリ、普段トレーニングをしているかどうか、である。

そして、普段トレーニングに励まれている方には「」がどう見えているのか。

どう見てもスクワットしてる姿にしか見えないのである。

ただし、バーベル等を用いたフルスクワットなどではない。手を前にした、屈伸運動の方である。

んー? と、懐疑心を抱かれる方の気持ちもよく分かる。
ご先祖様はなんでスクワット姿なんてものをカタカナにしたのか。もっと肉々しいものにすべきだろうと。

当然、ご先祖様の時代にも一悶着あっただろうことが想像される。
だがしかし、この後の2文字でその謎はあっさりと解明されることになる。

」だ。

スクワットの流れを踏襲した後でこの文字を見ると、これはもう一つにしか見えない。

そう、バーベル上げである。

そして、あなたはハッと気づくことだろう。

「そうか、ひらがな表記はボディビルダーの雄々しき姿を、カタカナ表記はそれに憧れトレーニングに励む様を表しているのか!」
と。

カタカナはひらがなから派生したものではないのだが、ボディビルダーに憧れトレーニングに励む一般人の構図を見るに、『カタカナはひらがなから派生したのではないか』説の逆説的な証明として一石を投じるものに成り得るのではないだろうか。

それでもまだ確信の持てないあなたは、最後の「」を見る。
まさかのミラクルにあなたは目を見開く。

「バーベルを用いたフルスクワットじゃないか!」

まさかの「」と「」の合わせ技。
スクワットとバーベルを用いた一連のプロセスを「キンニク」という4文字で表している。
恐ろしいことに、一切の無駄がない。変に他のトレーニング器具が使用されていないあたりにご先祖様たちの頑ななまでの意思が見て取れる。

さあ、ひらがな、カタカナと続けば、この後の展開はお分かりだろう。

そう、漢字だ。
漢字表記においても「きんにく」というフレーズは、我々に筋肉の素晴らしさを教えてくれる。

では、見ていこう。

筋肉

最初に書くのは、「竹冠」。

この時点ではまだ何もわからない。
当然だ。候補はたくさんありすぎる。
むしろどちらかと言うと、暑苦しい感じではなく竹の持つ爽やかなイメージの方が強い。
しかし次の記入で、一気に変わる。

次に書くのは、「」だ。この部首名を何というか。
にくづき」という。

「にくづき」!? どういうことだ、さっきまでの清涼感は一体どこに行ったというのだ!
相反する二つの意味合い。これらだけでは漢字を成り立たせることはできない。
1つ目の漢字を完成させよう。さて、次に記入するのはなんだったか。

」である。

これによりイメージが完成する。
爽やか」「にくづき」「」である。

もはや爽やかなスマイルを浮かべた1人のマッチョを想像せざるをえない。

そしてこれだけでは「きんにく」は完成しない。あと1つ漢字をつけなければ。

さあ、付けよう。「」を付けよう。
するとどうなるのか。1つ前に記入した「力」のおかげで、だらしない脂肪のイメージは全く沸かない。むしろ一層厚みを帯びた肉壁のイメージがあなたの頭を支配する。

しかし待て。「筋」の1文字で1人のビルダーがもう誕生してしまっている。だったら「肉」にはどういう意図があるというのかーーーー

ーーーーおそらく、助詞的な役割を担っているのだろう。

「筋」が「肉」という助詞によって、単数ではないことを示唆しているのではなかろうか。

つまり、「筋肉」とは自己満足で終わる言葉ではなく、それを理解する相手、しかも肉々しい相手がいてこそ成り立つ言葉ではなかろうか。
そう言われてみれば、「肉」という漢字には「人」が二つも入っている

「ヘッ! お前の筋肉も、中々キレてんじゃねぇか」というボディビルダー同士の称え合い。「すげえ! あいつの大腿四頭筋、バリバリだ!※2」といったビルダーとその彼らを崇める我々。
身近にある環境だって当てはまるだろう。部活動に励む仲間同士のスキンシップ。ジムインストラクターと生徒たちのコミュニケーション。そういった、もはや『芸術』とよんでも過言ではない美しい関係こそが「筋肉」であると、そういうことではないだろうか。

※2:すげえ! あいつの大腿四頭筋、バリバリだ!
極限にまで脂肪を絞り、皮膚一枚のバリバリ状態にまでストイックに追い込んだ洗練されし筋肉の状態。
使用例1:ロニー・コールマンはどんなトレーニングを積めば、あそこまで筋肉をバリバリにできたのだろう(最高と崇められるビルダーの1人であるロニー・コールマンの筋肉に強い憧れを馳せた時に用いる)
使用例2:指を結べばバリアを張れる!(漫画ONE PIECEに登場するバルトロメオさんのセリフ)

いかがだろうか。私はこれらのレポートを、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)に提出すべきかどうか割と本気で迷っている。
個人で所有しておくには惜しい情報であるとともに、やはり己の中だけで保持しておきたいという醜い独占欲があることも否定できない。

そのため折衷案として、ブログ公開という手段をとらせてもらった。
皆さんが送られている筋トレライフに少しでも良い刺激になっていただけたなら、冥利に尽きるというものである。